色弱デザイナー

日本人男性の20人に1人が色弱と言われている。

色盲色弱の人は色を扱う仕事ができないと言われる。

例えば、信号を判断して機械作業を行わなければならない業務などでは、誰かの命に関わるケースもあるため、誤ることは致命的である。なので、認定資格を持っていなければ携われない仕事もある。

また、ファッションデザイナーやグラフィックデザイナーも色を扱うので、向いていないと言われている。しかし、この場合は命に関わる問題にはならないので、認定資格はない。

認定資格が必要ないため、上記のようなデザイナーの中には、色弱の人も割と存在するのではないかな、と私は思っている。

なぜなら、私もそのひとりだからだ。

私は色弱と言っても軽度なので、大きく色を誤ることはないし、業務上大きなトラブルが発生したことはない。ただ、自分の見えている世界は、他人が見えている世界と少し違っているのかも、と感じるケースはそこそこある。

例えば、「こっちをもっと目立つ色にしてよ」と言われた時に「目立ってると思うんだけどな」と心中では思っていたり、1色のデザインだと上手くいくのに、4色に変換した途端に「見え方の強弱が変わった」と言われたり、である。

私は昔から「緑色って豊かな色だなあ」と思っていた。なので、緑色は好きな色の一つだった。だが、これまでの人生体験を総合してみると、他の人が「青」や「茶」と思っている部分まで自分にとっては「緑」なのかもしれない、と今では考えている。だからきっと緑色の範囲が広くて、豊かなのである。

Mr.ChildrenなどのCDジャケットを多く手がけてきた信藤三雄氏は色弱であるらしい。確かに、配色は少しダークな物が多くて、通常とは少し違うセンスだと感じるが、そこが逆に個性となっていて、彼の作るCDジャケットはとても世界観が深い。

また有名な話だが、ゴッホは、彼が色弱であるがゆえに、彼の描く絵画はとてもビビッドで美しいのでは、と言われている。

色弱といっても種類が色々なので、一概に作るものがどのようになるかは、人それぞれだが、私も確かに、スーパーのチラシなどのとてもビビッドな配色が好きだし、また作ったものが逆に「色がくすんでいる」と言われることもある。

だからといって、信藤三雄ゴッホのように素晴らしいデザインができるかどうかは完全に別問題。

だが、一つだけ自信を持って言えることがある。それは、「色に不安を抱えている人間は、形やレイアウトにおける見やすさを必要以上に重視している」ということである。すなわち、色に頼らないデザインがきちんとできる、ということだ。

もし、これを読んでいる方が、色弱でデザイナーをあきらめようと思っていたら、それはまだ気が早い、と言いたい。確かに、誰かの作るデザインと同じデザインは上手に作れないかもしれない。だが、自分にしかできない得意なデザインもきっとあるだろう。その時、色弱は「弱」点ではなく武器になる可能性があるのだ。